桃李歌壇
目次
駐輪場の片隅に 紺のバック 音もなく深みに眠るような心魂の深い色 弱く震える灯火が 小さく息を 冷たい息を 声もなく わたしも 深い眠りについていた が、 突然の電話でいつものように起こされた 「駐輪場に臍の(へその)のついたままの子が・・」 ああ 神様 ! 体温はすでに20 ℃を下回り刺激に応答さえもしない 名もなく 冷えてゆく 3500gのいのち 握る手は硬く 息は浅く もし この子に明日があるのなら 暖かい毛布の中で夢を見せてあげたい 母親の胎内で見た夢のような