桃李歌壇

回文歌仙 

「君の名は」

歌仙36韻をすべて回文で巻いて見ました。
回文とは「たけやぶやけた」のように右から読んでも左から読んでも
同一になる文のことです。起首 1997/06/12 満尾 1997/06/27 。

 

発句   君の名は 厭ふも太い はなのみき (ばく 回文歌仙発句) (612 1908)

    花畑過ぐ透けた鼻は (ばく) (612 2026)

第三   汝が咲くと如何にも苦い木賊かな (五十一)  (613 0921)

   刃(やいば)眼に沁む 虫に目はいや  (五十一) (613 0928)

  月明かし 蜜満ち地満つ 見しか秋津 (五十一 月) (613 0932)

   萩の白深し 詩見ろ師の樹は (あきこ) (613 1110)

初折裏

  乱れ初め 後花鳩雨 逸れた身 (あきこ) (613 1425)

   好きな良い子ああ濃いいなキス (はる) (613 2114)

  世界は君のもの野茂の右は生かせ (はる) (613 2121)

   伊良部投げ資本欲しげな無頼  (はる) (614 1028)

五   長嶋や何時まで松井山師かな (ばく) (614 2024)

   勇んで行かふ 深い天才 (ばく) (614 2121)

七   傷噛みぬ身儚し中は見ぬ三日月 (ばく 月) (615 0919)

   みすみす彼を死なす薺萎れ霞澄み (はる) (615 0924)

九   薺萎れ御身の名は花のみ俺を死なすな  (ばく 花) (615 1440)

十     横綱の里 土佐の夏来よ  (五十一) (616 2236)

十一  貴関の仕舞わぬ廻しの着せ方 (五十一) (617 1329)

十二    見ぬ真如に 女人死ぬ身  (五十一) (617 2058)

名残表

一  悲しみを慰安に二人愛を見し仲   (はる) (618 0929)

   合歓の幹砕け抱く君の胸 (はる)  (619 1354)

三   すきないま うとうとうと うまいなきす (はる) (619 1401)

四    今うま構う 馬かまうまい (ゆみこ)  (620 0934)

五   さいはての森の祈りも野ではいさ  (みお) (620 1019)

六    仲は睦まじ 嶌摘む若菜 (はる) (621 2039)

七   松葉詰まる雪は消ゆる待つは妻 (ばく) (623 2108)

   匂ふ如くに「憎く」と恋ふ 本()に (みお) (624 2345)

九   泣いた皆 痛い ! 逢いたいな見たいな (はる) (625 0605)

   異国めき殿のときめく恋 (みお) (626 0625)

十一  半月に見き憩い君に告げんは (みお 月) (626 0832)

十二   懐古は今ああ甘いは恋か (はる) (626 1543)

名残裏

一  馬いま死なず太刀手綱仕舞まう (ばく) (626 1639)

二    暗い爪口惜し寂滅為楽 (みお) (626 2012)

三   華やかに咲くなづな草苦や菜は (みお) (626 2015)

四    盲(めしい)の朧 路傍の石目 (五十一) (626 2126)

五   花の酒しみ来る汲みし今朝の汝は (みお 花) (627 0824)

挙句   夫婦浮気す好きはうふうふ (五十一 挙句) (627 0951)