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歌仙:雲の峯

1997/7/27-8/19

 

 

投句

作者

発句 雲の峰地平に届くわが渇き みお
 漂流の夏ひとり挙ぐる帆  東鶴
第3 浴衣掛ふらり綿飴廻したる  ひとし
初表4  軽さを買はれ時の氏神
初表5 若者がエア・ジョーダンで掴む月  みお
初表6  星空めざすロング・シュートを  はる
初裏1 秋風の岐路に聞こえし師の言葉
初裏2  一歩も退かぬ古人なき道  東鶴
初裏3 飛級を続けて今や起業家に
初裏4  若さに負けてはずれ給うな 白馬
初裏5 流鏑馬の弓をきりりと引きしぼり  ひとし
初裏6  塵ひとつなき元旦の門 ゆう
初裏7 千早ぶる井戸のはじめの大福茶  ひとし
初裏8  月凍て客に鉢の木を焚く 
初裏9 今宵こそ命捧げし君なれば はる
初裏10  まだ踏みも見ぬ峰へ道行 
初裏11 花の舞ふ里は彼方と渡す橋 みお
初裏12  すいと燕に追越されたる
名表1 敗走の神輿を揺らす春祭  ひとし
名表2  どうでこのあと飲み明かさねば
名表3 質屋より帰りて捌く初鰹  ゆう
名表4  習はぬことも慣れる新妻
名表5 トランプの伏せた絵札を前にして  ひとし
名表6  ぐらりと揺れて地震警報
名表7 土竜死ぬ道路の上に夏の朝 はる
名表8  日本列島雲覆う峰   尚史
名表9 秋空は水涌くごとく生れゐるを みお
名表10  残暑と共に燃ゆる球宴
名表11 何ものぞ新月の宵に飛翔する ひとし
名表12  まだ明けぬ道蜩の鳴く   若翁
名裏1 爽やかなシャワーを浴びて朝支度 はる
名裏2  目醒むる胸に染めよシナモン みお
名裏3 レバノンに春の訪れ木々香る ゆう
名裏4  新造船を追い駆ける蝶 尚史
名裏5 花待ちの心も馳せる櫂の音 東鶴
挙句  日の麗らかや空はコバルト みお