世界同時株安といふ喧騒を背に葦原に分け入るか我 音も無く水面反転するやふに鵜は水に入る魚(いを)食まむとて 鰭見せてゆく鯉のあリ水浅く釣師腕組み崩すことなく 背後より我を過ぎ行けるうろこ雲やがて雨もつ雲の迫れる 湖はひたに光かさかしまに真木森の線水に映して 山鳥の発ち葦揺れて穂の間(あひ)の空青々とひとしきり澄む 雲増えて光薄るる大空を負ふは湖畔に我のみとなる ゆくりなく葦の白穂の揺れ初めて時雨は湖に至りけるかも 秋時雨いよよしきれば葦真菰ただ雨纏ひ見分けがたきも 穂の限り雨の砕くる時となりその穂を分けて雨浴びて行く |