桃李歌壇
みお作品集
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冬の湖
べうべうと筑波下ろしを負ふ波のひた寄するかな湖の南に
原初なる爆発が我が金融に連鎖し止まぬ冬の湖
台地裂け利根の高さに開けたる湖おしなべて烈風の吹く
雲厚く水面鉛となるものをその波千切る風すさまじく
しかも葦孕む命の限りなく烈風の中雀破裂す
羽ばたけど吹き戻さるる黄の嘴の河鵜と我の胸の誇りよ
一万のカリヨンを今鳴らしたるごとし芦原に充つる雀の
穂すすきのわた失ひていと細き指ばかりなる穂の飛び来たる
なほ水よこの数知れぬ生類の歌響かせよ冬の落日
潤ひていと柔らかき芦原の土は黒めりやがて芽吹かむ