桃李歌壇  みお作品集

百合の木

空が 百合の木を 侵食する
緑と 茶の 斑が 混じった 黄金が
一つ また一つと
存在を 空に 開け渡す

今は 枝の姿が 露わとなり
残った 葉の 数も少ない
風が吹き 黄金が舞う時
散る葉の背後が 空白でない事に驚く

そんなふうに 消えて行くのだ
最も華やかな 色の時節に−−−
自らの心音に 耳を傾けながら
音を立てて カップを皿に 置き直す